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平成14年10月11日 猫の目の秘密

 今回は猫の目のお話し。まずは基本から。猫は、近眼(生育環境によりますが、0.3程度)ではないかと言われています。草原で狩りをする生き物と違い、わりと近くの獲物に飛びついて狩りをする猫は、近眼の方が都合がよいからです。そして、若干の色の認識が可能な犬とは違い、猫は色の認識がほとんどできないのではないかと言われています。最近の学説では認識は可能であるという説もあるのですが、どちらにしても人ほどではありません。


 そして猫の目というと、縦に切れた瞳孔が有名ですね。暗いところでは人と同じような感じの目ですが、明るいところでは黒目が縦に細くなり、近くで見ると爬虫類のようで少々迫力があります。この縦に切れた瞳孔は、別に猫に特有のものというわけではありません。

 瞳孔は目に入る光の量を調節しているのですが、猫のような縦型の瞳孔だと、動かす筋肉の構造から素早い調節が可能なのです。猫は本来、森や林の中などの暗いところと明るいところが入り乱れた場所に住んでいたので、こういった瞳孔の構造になったんですね。

 ですから同じネコ科の動物でも、草原で暮らしているような大型の動物は、人と同じ丸い瞳孔です。こちらの方が物を認識する能力は高いと言われています。そして逆に、犬の仲間でも狐などは猫と同じ縦型の瞳孔だったりします。

 ところで猫の目を暗い場所で見ると、角度によってはキラっと光りびっくりする事がありますね。これは猫の目の奥にある反射膜が、光を反射したものです。反射膜自体は一般的にどの動物にも(人にも)あるのですが、猫の場合は特に発達しており、瞳孔もよく開くので目立つのでしょう。この発達した反射膜で光を増幅しているので、猫は暗闇でもよく見えるのだと言われています。


 さて、「目の色を変える」という言葉がありますが。猫の場合は、獲物を見つけたり危機に瀕した際に、文字通り目の色が変わることがあります。

 猫の瞳孔は興奮状態になると、瞬間的に限界ぎりぎりまで開きます。ですから、猫の目の前で猫じゃらしを動かしたりすると、昼間の明るい場所で黄色や緑、青などの色だった猫の目が、一瞬にして真っ黒に変貌します。


 また、猫の目には、瞬膜というものが備わっています。猫を飼っているかたなら見たことがあると思いますが、普段は目の鼻側に格納されている白い保護膜で、言わば内まぶたという感じでしょうか。寝ている時に出ているので、起こさないようまぶたを引っ張ってみると、見ることができます。

 この瞬膜は、身に危険が迫った際に瞬時に出て目を保護したり、普段も目を乾燥から守るために分泌物を出していて、たまに動かして目を潤したりしています。

 ちなみに猫は、体調が悪くなると瞬膜が勝手に出てきてしまうようです。ですから、調子が悪そうにしていて、目の内側から瞬膜がはみ出ている猫がいたら、すぐに獣医師にかかりましょう。また瞳孔も、本当に体調が悪くなると(人もそうですが)開きっぱなしになります。


 ところで猫の目の病気というと、よく見られるのが目やにの問題。ノラ猫などだと目の周りが汚くなった猫が多いと思いますが、大抵の場合、以前お話しした猫ウイルス性鼻気管炎(FVR)への感染によるものです。

 また、少々歳をとった猫などで、眼の色が片方だけなど染みができたように変わってしまった猫もいると思いますが、これは目に傷が付いたりし、そこから角膜炎を起こしたのが原因でしょう。恐らく自然に治ってしまったケースがほとんどかと思います。

 他には白内障(目が白く濁る)や緑内障(眼球内の圧力が高くなり目が青っぽく見える)などが怖い病気ですが、猫の場合は人と違い自然に発症することは少なく、こちらも目に傷が付いたりしたのをきっかけに発症するケースが多いようです。

 飼い主のかたは、猫の目に傷が付いていないかなどまめにチェックして、適切な治療を受けさせてあげましょう。


平成14年10月14日 猫の色決定遺伝子の秘密

 三毛猫の毛色決定の謎や、青目の白猫にある難聴遺伝子についてのお話し。

 猫の目の色というと有名なのは、黄色とか緑色など。あと外国の猫には青い(もしくは銀)色の目の猫もいますよね。他に珍しいのに、左右の目の色が違う猫も。これは『オッドアイ』と言います。

 ところで青い目なのですが、実は少々問題があります。というのも毛色が完全な真っ白で、目が青い猫は、産まれつき耳が聞こえなくなってしまうのです。オッドアイの白猫の場合も、青い目の側が聞こえないようだという話しがあります。

 猫の場合は他の感覚が鋭いので、耳が聞こえなくとも問題なく生活できるのですが、やはり神経質に育ってしまう猫が多いようでできれば避けたい問題です。

 ですが、目が青で毛色が真っ白の仔猫でも、体のどこかに少しでも色が付いていれば問題ありません。おでこにうっすらと灰色や茶色の模様が入った仔猫も大丈夫。この場合は大人になると消えてしまい、本当に真っ白な猫になります。


 さて次は、有名な三毛猫のお話し。三毛猫に雄はほとんどおらず、いても繁殖能力が無いということはわりと知られていると思うのですが、理由についてご存知のかたは少ないと思います。

 三毛猫の毛色を思い出してみてください。白と茶と黒でできてますね?そのうちの白い部分は、別の遺伝子。そして茶と黒の部分が、性別を決める遺伝子のXのほう…つまり、雌の遺伝子の側にあるのです。

 雌の場合は白に、XX遺伝子それぞれが茶と黒になれば三色もありえるのですが、雄の場合には白とXYになってしまい、Xが一つしか持てません。したがって茶か黒のどちらかしか持てず、普通は二色までしかありえないのです。

 XXYの遺伝子を持つ突然変異の雄猫ならば、稀には三毛になることもあるのですが。この場合は、人にもあるクラインフェルター症候群という遺伝病で、生殖機能が失われるか、極めて弱くなってしまいます。


 ところでここで、ちょっと詳しいかたなら何故XXの両方の遺伝子が機能しているんだろうなどと思われるかもしれませんが、これは受精卵の初期細胞分裂の段階で、父母どちらのXを利用するかの選択が行われているためです。三毛猫の皮膚の黒と茶の部分では、それぞれで母猫と父猫の遺伝子が機能しているんですね。

 日本猫をよく観察してみると、白に、黒か茶のぶち柄や虎模様の猫って多いですよね。実はあれは、三毛猫のなり損ねなのです。遺伝的には三毛猫の要素を強く持ってますので、その猫の子は通常より高い確率(実は、三毛猫の子供よりも高い)で三毛猫になります。


 三毛猫の雄は昔から、海難を知らせるなどとして船乗りに高価で引き取られたり、縁起ものとして商人が欲しがったりしていました。招き猫は雄だという説も。そして今でも、その習慣は残っています。


平成14年10月19日 血統書猫と困った遺伝子の秘密

 さて前回、毛色が真っ白で青目の猫は難聴になるというお話しをしましたが、猫の世界には他にも困った遺伝子が色々とあります。

 日本のように雑種猫の多い環境では、先天性障害などを起こす遺伝子はあまり気にされません。ですが、特徴を固定するために近親交配も多く、遺伝子の濃くなりやすい血統書付き猫の世界では、致死遺伝子といったものまで飛び出す大問題なのです。


 『マンクス』という品種の猫がいます。イギリスとアイルランドの間いある、マン島という島から発生した種類です。この島はマン島TTレースというバイクレースで有名ですね。

 マンクスは突然変異でしっぽが無くなってしまった猫で、また後ろ足が長く、うさぎのようにぴょんぴょん跳ねて歩く様子が特徴的です。日本猫にも(特に九州方面系で)しっぽの短い猫が多くいますが、マンクスの場合には本当に完全にしっぽがありません。

 しっぽの無い理由は色々な伝説がありまして、ノアの方舟の扉が閉まる直前に飛び乗り、扉にしっぽを挟まれてしまい切れてしまったとか、領主が猫のしっぽの長さにあわせて税金を取ろうとしたため、皆で切り落としてしまったなど色々な説があります。もちろん、真相はただの突然変異ですけれど。

 問題なのは、この『尾が無い』という遺伝子が、致死遺伝子なのです。この尾が無い遺伝子を両親から受け継いでしまうと、その仔猫は生存できません。ですから、尾の無いマンクス同士を交配させると高確率で仔猫が産まれず、産まれてもすぐ死んでしまうなど、酷い結果になるのです。マンクスが増えるためには、尾のあるマンクス(スタンピー・テール)の存在が欠かせません。


 他にも、スコティッシュ・フォールドという耳の折れた品種の猫がいます。この品種も『耳が折れる』という遺伝子に奇形が多く、産まれた仔猫の足腰の骨が変形していたりすることが多いのです。この奇形を減らすためには、耳が折れていないスコティッシュ・フォールドや、他の品種の猫を混ぜて増やさないと駄目なのですが、そうすると当然耳が折れていない仔猫も産まれてしまい、商品価値が発生しません。このため、無理な交配をする人達もいるようです。

 このように雑種ではない、いわゆる『血統書付き猫』達の中には、もちろん健康な品種もありますが、様々な先天性障害のリスクが高い品種もあります。特に独特な特徴を持つ品種に多いのですが、一見健常に見えても、体が弱かったりすることもあります。血統書付きの猫を購入する際には、品種の危険性を調べ、数代遡っての親の遺伝情報を調査(血統書に書いてあります)し、それでも何があるか分からない、といったリスクも承知で、またそのようなリスクに直面してしまった場合にも、最後まで飼ってあげるという覚悟をしてから購入しましょう。


 遺伝子のお話しといえば最近は、死んだ飼い猫をクローンで蘇えらせる研究や、遺伝子操作で猫アレルギーの人でも飼えるようにした猫が研究され、ほとんど完成しているそうです。ですが、そういった研究や、血統書付き品種猫を作る裏で、犠牲になっている猫のことも忘れてはなりません。

 特に比較的最近発生した若い品種において、近親交配を繰り返すなど相当な無理をし、特徴を維持している品種もあるのだいうことを覚えておいてください。品種の特徴を受け継げずに産まれてしまったり、奇形の多い遺伝子のために骨が曲がったりして産まれ、売り物にならないと判断されてしまった仔猫達は、果たしてどうなっているのでしょうか…。


平成14年10月31日 動物病院の歩き方

 猫を動物病院へ連れて行く際の、こつや注意点などのお話し。

 まずは、動物病院の探し方や決め方。ご近所に詳しいかたとかがいらして、紹介して貰えれば一番なのですが…。自分で探す場合は、Pet@niftyの動物病院データベースなどを使い、できるだけ家の近くの獣医さんを探しましょう。車があれば多少遠くても大丈夫だと思いますが、通う場合の便を考えると、やはりご近所の方が何かと都合が良いでしょう。

 自分で探した場合はいきなり行かず、まずは電話で色々と聞いてみるとよいです。丁寧で親切そうな雰囲気の獣医師かどうかを確認するのと、大事なのは快く見積もりを出してくれるかどうかを確認すること。動物病院の料金は明確な基準などが無く、保険なども無いので高額になりがち。ノミの薬や注射一本でも価格が違います。先に聞いておければ、安心ですよね。


 連れていく際にはできるだけ、ペットショップやホームセンターなどで売っているキャリングバッグを利用しましょう。買い物かごやダンボールを使ってるかたも多いですが、これは屋外で身の危険を感じた猫が暴れ、飛び出してしまい大変危険です。絶対にやめましょう。

 猫は犬と違いさほど体も大きくないため、頑丈なケージ型ではなく、柔らかくて軽いバッグ型の物で大丈夫。これならそんなには高くない物が、何種類か置いてあると思います。ともかく、猫の出し入れが簡便そうな物が良いです。

 あらかじめ買っておき、普段から寝床や隠れ家として使えるようにしておくと、猫も少しは安心かもしれませんね。


 動物病院では、診察室に入るまで猫を出さないように。待合室では他の動物も待ってますので、ケンカになったり、病気を移したり移されたりすると大変。診察室では、獣医師などスタッフに任せっきりにせず、積極的になだめたり押さえたりしてあげたほうが手早く済みます。このあたりは、獣医師の指示に従ってください。

 万が一入院することになった際は、ペットホテルの項でも書きましたが、ノミ対策をしっかりすること。入院用のケージは清潔に保たれていますが、同じ部屋に様々な境遇の犬猫も一緒になりますので、どうしてもノミが移って来ます(最近の犬に付いているノミは、猫ノミの場合がほとんど)。あらかじめ予防薬を使っておきましょう。




各話の選択に戻ります。


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